Haiku by Stjepan Rozic in Croatia (2)
2013/05/18
On May 12, 2013, Ms. Djurdja Vukelic Rozic sent me an e-mail, giving such a nice comment as follows.
Dear, dear Hidenori-san,
my husband, Stjepan Rozic and I thank you for posting his haiku at Akita International Haiku Network and translating them.
It is time for the nightingale’s song now. Yesterday, I was walking my mother in a wheelchair down our street, and there on a dry bough sticking from a beautiful and so fragrant acacia in blossom, there was this tiny bird, singing, and singing, the whole white tree crown seemed to be singing! We stopped, stood there without movement just gazing at this wonderful nightingale. So busy with singing, did not even notice us for a while…
Some people without soul keep on catching them and making a pate/pasty from their tongues! It is forbidden by the law, of course, but…
Perhaps that’s one of the reasons why Stjepan listens to them and writes about them with so much love. For, there is no musician who will not be jealous of a nightingale’s song.
Wishing you all the best,
Djurdja Vukelic Rozic and Stjepan Rozic
Here are two haiku in Stjepan Rozic’s collection.
singing tree tops
nightingale everywhere and nowhere
spring morning
囀っている木々の頂き
至る所にナイチンゲールそしていなくなる
春の朝
budding fruit-trees
through a swarm of midges
nightingale’s aria
芽吹いている果物の木々
小さな昆虫の群れを通って
ナイチンゲールのアリア
Here are 10 more haiku about ‘Song Of A Nightingale’.
swift, tempting
arrogant and yearning
the nightingale’s notes
すばやく、魅力的
尊大そして切望している
ナイチンゲールのメロディー
cherry’s fruit
wrapped into the song
of the nightingale
サクランボ
歌の中に包まれて行く
ナイチンゲール
morning in Dubrovnik
adorned by the solo of
Zagreb’s nightingale
ドゥブロヴニクの朝
ソロに魅力を添えられる
ザグレブのナイチンゲール
nightingale’s melody
flowing with the murmur
of the creek
ナイチンゲールのメロディー
流れている
小川のせせらぎと共に
stubborn nightingale
again and again
offering spring
頑固なナイチンゲール
再三再四
春を示している
deserting the night
full of song, the nightingale
fell asleep at noon
夜を捨てて
歌に満ちていたが、ナイチンゲールは
昼に寝入った
curving cleverly
through the stubborn barking
the nightingale’s song
上手に曲がって行く
頑固な鋭い声で叫びながら
ナイチンゲールの歌
into summer calm
nightingale’s singing accompanies
the sharpening of a scythe
夏の静けさの中へ
ナイチンゲールの歌が付き添う
草刈りがまの研磨に
glaring
from early morning’s darkness
nightingale’s shiny tune
ぎらぎら光っている
早朝の暗闇から
ナイチンゲールの明るいメロディー
mating ended –
the beauty of nightingale’s song
disappeared
交尾は終わった ―
ナイチィンゲールの歌の美しさ
消えてしまった
The next posting ‘Haiku by Stjepan Rozic in Croatia(3) ’ appears on May 25.
― Hidenori Hiruta
Firstly, let me post CALENDAR RENGA 2013Ioana Dinescu in Romania presented to us on November 21, 2012.
Here are three photos of April, May, and June as well as their renga (連歌) with Hiruta’s Japanese translation.
Sorin
APRIL – Lights
scent of clay –
with spades on their back
two old women
before the crack of dawn
some flickering lights
ソリン
4月 ― 明かり
粘土の香り ―
背中には鋤
老女が二人
夜明け前に
いくつかの明滅する明かり
Vasile
MAY – May Wormwood
wormwood leaves –
the twins are splitting
a daisy
through the matted grass
the buzzing of May beetles
ヴァシル
5月 ― 5月のヨモギ
ヨモギの葉 ―
双子が分け合っている
ヒナギクを
マットを敷いた草を通って
コフキコガネ虫のブンブンという音
Cezar
JUNE – Night of Fire
night of fire –
elves dancing among the stars
in the lake
thunders are scattering
the lime trees fragrance
シザー
6月 ― 火の夜
火の夜 ―
エルフが星の間で踊っている
湖の中で
雷がまき散らしている
ライムの木の芳香を
Lastly, let me post some photo haiku by Ioana Dinescu.
They have been made these five months, November, December, 2012, January, February, and March in 2013. You can check them out at the site below.
http://haikuind.wordpress.com/
runes prediction –
the signs of future
upside down
ルーン文字の予言 ―
未来のしるし
逆様
gathered in a
withered leaves bag –
the whole
summer richness
集められている
枯葉の袋の中に ―
全ての
夏の豊かさ
Happy New Year! 新年おめでとう!
grandma’s crochet hook –
more skillfully is only
the frost
おばあちゃんのクロ-シェ編みの鉤―
もっと上手なのはただ
霜だけ
autumn sketch
in yellow and blue
one grey end…
秋のスケッチ
黄色そして青
一つのグレーの端...
footprints in the sand —
a crab is advancing
and they fade
砂の中の足跡 ―
カニが一匹前に進んでいる
そしてそれらは消えていく
from my cat
a trinket on the pillow –
a dead sparrow
私のネコから
枕の上に小さな装身具 ―
スズメの死体
The next posting ‘Haiku by Angelee Deodhar in India ’ appears on April 20.
― Hidenori Hiruta
For New Year 2013 (1)
2013/01/05
謹賀新年
Here is a picture for the new year card, which welcomes the year of Snake.
Wish you all a Happy New Year!
Here are two haiku by Hidenori Hiruta.
初夢や蛇を敬ひ餅を食ふ 秀法
First dream –
to respect Snake
and eat rice cake Hidenori
蛇の夢豊かな作と独楽回し 秀法
Snake’s dream –
to have a good crop
and spin a top Hidenori
Now let me post CALENDAR RENGA 2013 Ioana Dinescu in Romania presented to us on November 21, 2012.
Here are three photos of January, February, and March as well as their renga (連歌) with Hiruta’s Japanese translations.
Ioana
January – Frost
Frozen lake –
looking into the mirror
the frost whitens
the bell tower’s icicles
smelling of fresh basil
アイオアナ
1月 ― 霜
凍った湖 ―
鏡をのぞく
霜が白くする
鐘楼のつららを
目箒の佳い香り
Patricia
February – Bear’s shadow
the fog hides
budding cherry trees –
too early!
at the den’s entry
only the bear’s shadow
パトリシア
2月 ― 熊の影
霧が隠す
芽吹いている桜の木々を ―
早すぎる!
巣穴の入口には
ただ熊の影だけ
Virginia
March – Trinket
some snowdrops
in grandmother’s garden –
first march trinket
the spring wind takes
the clouds far away
バージニア
3月 ― 小さい装身具
いくつかのスノードロップ
おばあちゃんの庭に ―
最初の3月の小さい装身具
春風が連れて行く
雲を遠くへ
On January 3, 2013, Francis Tugayé, a haiku friend of mine in France, kindly presented us with his haiku and a piece of haiga by Graziella Depuy.
Here are haiga by Graziella and haiku by Francis.
Snowman.
on its wobbly shoulder
rests the moon. Francis Tugayé
雪だるま
まっすぐでない肩に
月を置く フランシス・ツガエ
Lastly, let me post another picture and haiku of mine for the new year.
詩の国や白銀の景あらはれる 秀法
The Land of Poetry –
the landscape presents its show
with silvery snow Hidenori
The next posting ‘Haiku by Ramesh Anand (2)’ appears on January 12.
― Hidenori Hiruta
WordPress.com 統計チームは、2012年のあなたのブログの年間まとめレポートを用意しました。
概要はこちらです。
2012年のカンヌ映画祭予選には4,329本の映画が提出されました。2012年にこのブログは約26,000回表示されました。各訪問者がもし映画1本を作っていたら、映画祭を6回開くことができます。
『詩の国秋田』 第4号「日露俳句コンテスト」一般の部 (9) 蛭田秀法選(1)
2012/10/02
年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、9月4日から「日露俳句コンテスト」の入選句シリーズを掲載しております。
今回は一般の部の9回目です。
日露俳句コンテスト
一般の部(9)
蛭田秀法選(1)
特選
Сибирская зима
Накрыла белой скатертью залив
Вдали – крошки-рыбаки
СУМАРОКОВА Ольга(スマロコヴァ オリガ)
SUMAROKOVA Olga
シベリアの冬
白いテーブルクロスで湾を覆う
遠くに点々と釣師
(日本・ウラジオストク協会副会長鈴木修訳)
Siberian winter
Served the white table cloth over gulf
The fishermen like drops on it
コンテストの評価基準は次の4点であった。
1 自然との共生をとらえている。
2 テーマである「海」を自分の目でしっかり見すえて写生。
自分が発見したことを自分の言葉で表現している。
3 比喩を上手に使っている。
4 イメージをふくらませる表現になっている。
具体的には、テーマである「海」に対して作者がどのように感じているかに着目。作者が海を写生し、心の中でどのようにとらえているか、つまり、ある瞬間自分の感覚や感性にふれたことを自分の言葉で自分なりに表現していることを重視した。
9月22日、日露俳句大会・秋田大会が秋田市で開催された。
スマロコヴァ オリガさんの掲句が最優秀賞である露月山人国際賞を受賞した。
氷結の海を通してシベリアの厳しい冬をいかに過ごすか、その一端をとらえ、海面に張り渡る氷を白いテーブルクロスと表現。
一番感動したのは「詩の国秋田」が生んだ漫画の主人公「釣りキチ三平」がイメージとして思い浮かんだことである。
『釣りキチ三平』は1939年10月28日秋田県雄勝郡西成瀬村、現・横手市増田町に生まれた矢口高雄による漫画作品である。それを原作としたアニメ作品もよく知られ、人気がある。
1973年から10年間、『週刊少年マガジン』(講談社)に連載され、当時の看板作品のひとつであると共に、自然派漫画の代表的存在であった。
現在矢口高雄1人による描き下ろし『パーソナルマガジン』の看板作品として『平成版・釣りキチ三平』を連載、創作活動を再開している。
矢口高雄は町の中心部から20km離れた山村に生まれ、自然に囲まれて育つ。この子供時代の生活が、後に漫画の題材となった。
自然の中での生活をテーマにした作品を描く漫画家である。
日露俳句大会・秋田大会の大会集にスマロコヴァ オリガさんのロシア語による句から「釣りキチ三平」を連想しながら、イメージをふくらませて作った短い三行詩を紹介した。
シベリアの冬
白布で湾を隠した
あめ玉好きの釣師 (蛭田秀法・イメージ訳)
9月23日、この三行詩は秋田のニュースとして秋田魁新報社による さきがけon The Web で 「日ロの俳句愛好者の交流 秋田市、コンテスト表彰も」 というタイトルで世界中に発信された。
9月26日、日本・ウラジオストク協会副会長鈴木修氏から三行詩に対するコメントが届いた。
「解釈は“シベリアの冬は魔法を使って白い布を振って湾を隠しました。漁師たちはあめ玉を愛しながら釣りをします”。複数の漁師たちがシベリアの冬に魔法をかけられて、一斉にあめ玉をしゃぶりながら釣りをする。すごいお伽の世界だと驚きました。」
さらに、ロシア語による原作を紹介したところ、ロシアの読者にはイメージ訳ではなく、詩的な直訳が望ましいということであった。
訳例と解説もいただくことになった。
シベリアの冬
白いテーブルクロスで湾を覆う
遠くに点々と釣師
「作者が描こうとしたのは、ウラジオストク市の西に広がるアムール湾の春先ではないかと思います。対岸は中国に達するので見えませんから、この時期の釣り人というのは、氷に穴をあけてコールシュカ(北海道でも獲れてキュウリ魚と呼んでいます)という小魚を釣る人々です。」
「作者の本当の句も味わい深く、特にウラジオストクで4年間暮らした私にはとても魅力のある句です。」
最後に、ロシア語による俳句の将来と可能性について激励のお言葉をいただくことになった。
「ロシア語は語尾変化が多く、韻の踏みやすい言語ですから、先生のご指導で新しい句の世界がウラジオストクに生まれるとすばらしいと思います。それは相互に相手の国の言葉を学ぶための楽しい、新しい手段にもなるような気がします。」
9月29日、ウラジオストク日本センターで開催された日露俳句大会・ウラジオストク大会ではロシアの参加者に対して鈴木修氏の訳も紹介された。
The next posting ‘『詩の国秋田』第4号「日露俳句コンテスト」一般の部(10)蛭田秀法選(2)’ appears on October 3.
―蛭田 秀法(Hidenori Hiruta)
『詩の国秋田』 第4号 「ロシア俳句事情 -日露俳句大会に寄せて-」
2012/09/18
年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、9月4日から「日露俳句コンテスト」の入選句シリーズを掲載しておりましたが、今回は間近に迫ってきた日露俳句大会について「ロシア俳句事情-日露俳句大会に寄せて-」というタイトルで拙稿をお届けします。
最初、日露俳句大会・秋田大会のポスターをご紹介します。
次に、拙稿を掲載します。
2011(平成23)年9月末、秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク(幸野稔理事長)の主催によりロシア沿海地方の州都ウラジオストク市で俳句を通じた文化交流を行った。
秋田県、国際教養大学、国際俳句交流協会、日航財団の支援と、現地でのウラジオストク日本センターと極東連邦大学の全面的な協力を得て、東方学校で俳句レッスン、極東連邦大学で俳句ワークショップ、ウラジオストク日本センターでは俳句の講演を行った。
交流を通じて知ったことは、日本語の勉強や学習が幼稚園、小学校、大学、日本センターなどの公的な機関で取り上げられているということであった。同時に、日本文化の学習も行われ、アニメやマンガ、そして日本文学など各層の人たちによって愛好されていることも分かった。
俳句に関しては、極東連邦大学で日本語と日本文学を専攻している学生や、ウラジオストク日本センターで日本語と日本文化を学んでいる市民の間に俳句に対する興味関心が起こり、俳句熱が一気に高まり、本年5月に日露俳句コンテストを開催。9月に秋田、ウラジオストクの両市で日露俳句大会を開催することになった。
コンテストに対してロシア全土から応募があり、一般44句、学生14句計58句の応募数であった。予想外のうれしい驚きとなった。
応募者の居住地域は、よく知られている地域としてウラジオストク、サハリン、モスクワ、サンクトペルブルクであった。あまり知られていない地域はマガダン(オホーツク海に面する港湾都市)、ビロビジャン(ハバロフスク地方、ユダヤ人自治州の都市)、ノヴォシビルスク(シベリアの中心的な都市)、ウファ(ウラル地方の工業の中心地)、ブラゴヴェシチェンスク(シベリア南部のアム-ル州の州都)、スヴェルドロフスク(中部ウラル、北ウラル山脈東麓および西シベリア低地の西限に位置する州)、ペルミ(工業都市でシベリア鉄道が通る鉄道の分岐点)、チュヴァシ共和国(沿ヴォルガ連邦管区に属する共和国)、タタールスタン共和国(沿ヴォルガ連邦管区の中央に位置する共和国)、モスクワ州(独立しているモスクワ市の周囲)、カルーガ(ロシア連邦南西部、モスクワから南西に188km)、クラスノダール(ロシア連邦南部の都市。モスクワから南に1540km)、チフヴィン(サンクトペテルブルクから東へ20km)の各地域であった。
意外に俳句愛好者はロシア全土に広がっていることが分かり、専門学校や大学、そして日本センターによる日本語や日本文化についての学習や講座のお陰のようである。
また、ウラジオストク日本センターの「文化同好会」のホームページで当コンテストについてロシア語で応募を呼びかけたことも助けになったと言える。
ここで、最新情報としてロシアの俳句人口を対象にした俳句大会について紹介します。
近畿フォーラム21(大阪市内にある任意団体)が「蕪村顕彰俳句大会」を主催し、来年3月に海外から応募のあった優秀な俳句を表彰します。大阪市政策企画室秘書部(国際交流推進)が窓口になり、大阪市と姉妹都市関係にあるサンクトペテルブルグ市にあるサンクトペテルブルグ日本センターが応募を呼びかけています。
秋田市で開催される俳句大会は秋田県とロシア沿海地方の包括的な交流の促進のため、秋田市とウラジオストク市姉妹都市締結20周年記念行事として、さらに石井露月生誕140年のお祝いのために開催しますが、ウラジオストク日本センターと在ウラジオストク日本国総領事館では、日露経済交流の一環として位置づけ、準備を進めています。
あらたに、「ウラジオストク日本センター賞」が日本からの応募者の優秀句10句に贈呈され、副賞として「帆船ナジェダ号」のメダルが贈呈されます。「ナジェダ」はロシア語で「希望」という意味です。ナジェダ号を動かし、秋田港に接岸させるためには、県民の皆様の俳句大会への参加が望まれます。熱意と誠意を表し、文化交流だけでなく、経済交流の発展も切望するものです。9月22日午後1時30分から秋田市千秋明徳町の「ジョイナス」を会場として開催します。ロシアの俳句と短歌事情について極東連邦大学准教授・与謝野晶子記念文学会会長のスレイメノヴァ アイ-ダ先生の日本語によるお話、記念講話、詩歌朗詠、千秋公園を散策しながら俳句を詠む会もあります。皆様のご参加を期待しています。
The next posting ‘『詩の国秋田』第4号「日露俳句コンテスト」一般部門(1) 内村恭子選’ appears on September 19.
―蛭田 秀法(Hidenori Hiruta)
『詩の国秋田』 第4号 「露月山人、衆目には見えない 『赤い糸』 を詠む」
2012/09/03
年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、秋田大学名誉教授・文学博士石川三佐男先生から次のような玉稿を賜りました。
(『詩の国秋田』2012.9.3 vol.4 電子版「http://akitahaiku.wordpress.com/」掲載)
露月山人、衆目には見えない「赤い糸」を詠む
秋田大学名誉教授(文学博士) 石川 三佐男
【緒言】平成六年(1994)十二月、筆者は能代市の成田建さんから落款に「露月山人題」とある漢詩句の書(軸物一幅・成田家蔵)の訳読を依頼されたことがある。訳読を通じて分かったことだが、この書は明治三十年ころ成田建さんの祖父母結婚時の祝賀詞であるらしい。参考までに、この作品は「雄和の文化財」第七集『石井露月遺墨集』(昭和六十三年)には収録されていないことを言い添えておこう。
【原詩句】解不解可解不可解維花兮維容兮沈香亭北倚欄干 露月山人題(印)
【訓読文】解けんとして解けず、解くべくして解くべからず
維(こ)れ花、維れ容(すがた)、沈香亭の北のかた欄干(おばしま)に倚(よ)る
露月山人題す
【語釈】○解不解―「解」はともに「とける」と読む自動詞。愛の契りや楽しい想い出などが自然にとけ消える意を表す。その主体は実は目に見えない「赤い糸」に他ならない。○可解不可解―「解」はともに「とく」と読む他動詞。愛の契りや楽しい想い出などを意識的にとき消す意を表す。「解不解可解不可解」は頼山陽の漢詩文及び中国古典が典故。その主体が霊妙な「赤い糸」となっている点は露月山人の発明だろう。○維花兮維容兮―「維」は助字で「これ」と読み、句の初めや中間に用いて語調を整える。「兮」は韻文の句中や句末に用いて語調を整え余情を添える助字。「花」「容」は誇れる名花(芍(しやく)薬(やく))と佳き人の姿。新郎新婦に呼びかける詩的措辞となっている。句末の典故から推せば、第一義的には唐の玄宗皇帝と楊貴妃を表す。第二義的には成田建さんの祖父母結婚時の幸せに満ちた容姿を表す。○沈香亭北倚欄干―唐の玄宗皇帝が楊貴妃を得て「沈香亭」(宮中の庭園にあったあずま屋)の北で欄干(おばしま)にもたれ、芍薬の花を賞(め)でつつ永遠の愛を契り楽しんだという意。この句は李白の清平調詞第三「名花傾国両相歓~沈香亭北倚欄干」が典故。露月山人が詩仙李白の詩に精通していた一面を示す。○露月山人題―露月山人がこの祝詞を作り揮毫した。
【口語訳】愛の契りや想い出は永遠にとけ消えないものである。消そうとしても消すことができないものである。(見よ)この名花と良人は、あの唐の玄宗皇帝と楊貴妃が沈香亭の北のかた欄干にもたれ、芍薬の花を賞(め)でつつ永遠の愛を契り楽しんだという故事そのものだ。
【主題】明治期に「赤い糸」で堅く結ばれた能代の成田夫妻の夫婦愛の美しさと永遠性を祝福し、兼ねて唐の玄宗皇帝と楊貴妃の愛の契りを例示して錦上花を添えている点にある。
【結語】本作品は目に見えない「赤い糸」を色彩を表す文字を一切用いず鮮やかに描出している。これは世阿弥『風姿花伝』の、いや露月山人流の「秘すれば花なり」ということなのだろう。
(2012年8月14日 識之)
玉稿は9月22日(土)に開催される「日露俳句大会」秋田大会のお祝いとしてご恵贈賜りました。
さらに、大変うれしいことに石川先生には当大会で記念講話もお願いできました。
大会要項は次の通りです。
日露俳句大会(要項)
はじめに
平成23年9月末、秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワークの主催によりロシア沿海地方の州都ウラジオストク市で俳句を通じた文化交流を行った。秋田県、国際教養大学、国際俳句交流協会、日航財団の支援と、現地でのウラジオストク日本センターと極東連邦大学の全面的な協力のお陰で画期的な文化交流となった。
東方学校で俳句レッスン、極東連邦大学で俳句ワークショップ、ウラジオストク日本センターでは俳句の講演を行った。
交流は反響を呼び、極東連邦大学で日本語と日本文学を専攻している学生や、ウラジオストク日本センターで日本語と日本文化を学んでいる市民の間に俳句に対する興味関心が起こり、俳句熱が一気に高まった。
結果として、本年5月に日露俳句コンテストを開催。9月に秋田、ウラジオストクの両市で日露俳句大会を開催することになった。
本年は石井露月生誕140年に当たる年であることから、露月の偉業を記念すると共に、日本とロシアの友好親善を深めたいと考えている。
俳句大会が秋田、ウラジオストクの両市で開催されることにより、文化交流の基盤が確固としたものになり、俳句を通じた市民レベルでの日露文化交流が一層活発になることを期待しております。
秋田大会
9月22日(土)
俳句大会 13:30 ~16:30
会場 ジョイナス(秋田県民会館に隣接)千秋公園(吟行)
日程
開会
主催者あいさつ
来賓祝辞
日露俳句コンテスト
入賞作品の紹介・講評・表彰
報告 ウラジオストクにおける短歌と俳句について
スレイメノヴァ アイ-ダ
(極東連邦大学准教授、与謝野晶子記念文学会会長)
記念講話(1) 石井露月の俳句 -露月の句の鑑賞と朗詠-
アレクサンダー ドーリン (国際教養大学教授)
記念講話(2) 露月山人、衆目には見えない「赤い糸」を詠む
石川三佐男(秋田大学名誉教授・文学博士)
詩歌朗詠 幸野稔(秋田大学名誉教授)
吟 行 ・お題 「木」 吟行地(千秋公園)
俳句発表会
手島邦夫(秋田工業高等専門学校教授・文学博士)
閉会
日露俳句交流の夕べ 18:00~ 20:00
俳句大会では要項のように千秋公園での吟行を予定していますが、石川先生には「詩の国秋田」における江戸期の漢学者・漢詩人狩野旭峰(天保3年・1832年~大正14年・1925年)の「狩野旭峰頌徳碑」前でお話をお願いしてあります。
ここで、「頌徳碑」が見える新年の千秋公園の池の写真を掲載します。
秋の好日、千秋公園の散策、そして漢詩の世界に浸りながら、お題「木」について一句詠んでみたくなるのではないかと存じます。
The next posting ‘『詩の国秋田』第4号「日露俳句コンテスト」高校生部門(1)内村恭子選’ appears on September 4.
―蛭田 秀法(Hidenori Hiruta)
『詩の国秋田』にちなんで (6) -鎮魂と慰霊-
2012/08/31
平成23(2011)年8月発行の『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第3号には、秋田県教育委員会教育長米田進氏から巻頭言を賜りました。
秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク理事長幸野稔氏(秋田大学名誉教授)と秋田大学名誉教授・文学博士石川三佐男氏からも玉稿を賜りました。
米田教育長は次のように述べています。一部を紹介します。
「グローバル化が進展するこれからの社会を主体的、創造的に生き抜くためにも、コミュニケーション能力や表現力、情報活用能力を高めていくことがますます大切になってきます。俳句・川柳・短歌を英語で表現することを通し、国際交流を重ね、地域の文化、人々の思いを発信できるということは、これからの郷土秋田を支え、世界に羽ばたく人材を育成するうえで、大変有意義なことであります。」
次に、幸野理事長と石川先生の玉稿を紹介します。
最後に、当ネットワークに世界各国から「東日本大震災」へのお見舞いやお悔やみ、祈りや激励を表すメール、ハイクや俳画、短詩などが寄せられ、その一部を紹介します。
当ネットワークでは「Haiku about the Great East Japan Earthquake(震災句)」というテ-マで4月30日からお寄せいただいた作品を13回のシリ-ズで毎週土曜日に掲載しました。
次のサイトがそのシリーズです。
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/04/30
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/05/07
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/05/14
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/05/21
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/05/28
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/06/04
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/06/11
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/06/18
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/06/25
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/07/02
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/07/09
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/07/23
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/07/30
7月16日には、国際俳句交流協会(有馬朗人会長)がホームペ-ジに掲載した「3.11.Haiku」の記事を当ネットワークでリンクしました。
http://akitahaiku.wordpress.com/2011/07/16
最後になりますが、ここで改めて世界各国の詩友の皆様に敬意と感謝の念を表しながら、
東日本大震災でおなくなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。 合掌
The next posting ‘『詩の国秋田』第4号-秋田県国際俳句協会の誕生-’ appears on September 1.
―蛭田 秀法(Hidenori Hiruta)
『詩の国秋田』 にちなんで (1) - 中嶋嶺雄先生の巻頭言 -
2012/08/22
Three years have passed since we founded the Akita International Haiku Network on May 1, 2009.
At the same time we published the yearly pamphlet 『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry』 on August 31, 2009.
Here is its front cover page, in which the article by President Mineo Nakajima (中嶋嶺雄)at Akita International University(国際教養大学)is shown.
In this article Dr. Nakajima presented haiku he wrote during his stay in Nara, when he went on a school trip in his junior high school days.
猿沢の灯の涼しさを宿にいて
嶺雄
Donald Keene, the ex- member of the President’s Advisory Board at AIU, kindly contributed his Japanese translation for Matsuo Basho’s haiku from ‘The Narrow Road to Oku ‘ by Matsuo Basho (『おくのほそ道』松尾芭蕉).
象潟や雨に西施がねぶの花
Kisakata ―
Seishi sleeping in the rain,
Wet mimosa blossoms.
Donald Keene
Here is a photo of Donald Keene taken at the final lecture at Columbia University on April 26, 2011 by Atsuko Teramoto (寺本敦子撮影).
His Japanese name is 鬼怒鳴門.
AIU President Mineo Nakajima (中嶋嶺雄), who is one of the most important founders of the Akita International Haiku Network, is eminent as Ph.D., Sociology, The University of Tokyo, M.A., International Relations, The University of Tokyo, and B.A., China Studies, Tokyo University of Foreign Studies.
You will see what Dr. Nakajima has been doing as AIU President on the Internet at http://www.aiu.ac.jp.
Dr. Nakajima has also a clear understanding of haiku and feels a great love for haiku.
This is partly because his late father, Seiyo Nakajima (中嶋晴陽), was one of the haiku poets in Japan.
In 1990, Dr. Nakajima compiled a book of haiku by his father, titled Seiyo Kushu (晴陽句集).
Let me show you its front cover page and the last haiku by Seiyo Nakajima.
Dr. Nakajima has written articles or essays on haiku for haiku journals or the newspapers, and has appeared in NHK TV program on haiku these days.
He also contributed the article of congratulations on the first issue of the yearly pamphlet by the Akita International Haiku Network.
Last of all, we sincerely hope that haiku will spread out to the world more because of its brevity and its coexistence with nature.
The next posting ‘『詩の国秋田』にちなんで(2)-有馬朗人先生との出会い-’ appears on August 24.
― Hidenori Hiruta
On December 20, 2011, Patricia Lidia in Romania, kindly presented a haiku calendar to us.
The haiku calendar was made by Ioana Dinescu and Constanta Erca in Romania.
Here is a photo of the month August.
I mowed the grass
and watched it growing –
sun at sunset Sorin Tona Boc
草を刈った
そして生えるのを見た -
日没の太陽 ソリン トナ ボス
Here is a cover of “Blackbird’s song”.
Here are some haiku from “Blackbird’s song”, which are translated into English by Mr. Vasile Moldovan, with my Japanese translation.
This is the third part of summer haiku.
SUMMER SHADOWS 夏陰
Silence around –
the shadow of a passer–by
broken by butterflies
まわりの沈黙 ―
通行人の影
チョウに破られる
The air, the green…
drew by the butterflies
on the flotation lane
空気;緑...
チョウに描かれた
浮力のレーンに
The noon breeze –
a black swan graciously
among the water lilies
真昼のそよ風 ―
黒いスワンが優雅に
スイレンの間に
Noon steams –
the swan’s shadow
elongated by a frog
真昼の霧 ―
スワンの影
カエルに引き伸ばされる
On the old hut,
an albatross
loaded with light
古い小屋の上 ―
アホウドリが一羽
光を満載している
Sunset –
gulls carrying on the back
the sea echo
日没
カモメが背に運んでいる
海のこだまを
A poppy comes in the world –
I see a haiku
on the life line
ケシが世に出る ―
ハイクを一句見る
生命線に
The wind in play–
my sight stopped
on a rose
風が戯れている ―
他が見えなくなった
一本のバラの上で
Cherry trees in fruit –
the waving of the grass
closed in the twilight
実をつけているサクラの木 ―
草の揺れが
薄明かりの中で終わった
Books storehouse –
I comes out for a handful
of cherries
書庫 ―
手に一杯にするために出る
サクランボを
Summer moon–
between me and spider
a book marker
夏の月 ―
私とクモの間に
本のしおり一枚
Scorching day–
at the scarecrow shadow
a lullaby
焼けつくような日 ―
かかしの陰で
子守歌
The next posting ‘ Haiku by Oprica Padeanu, Romania (4) on August 18.
― Hidenori Hiruta

































