年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、9月4日から「日露俳句コンテスト」の入選句シリーズを掲載しておりましたが、今回は間近に迫ってきた日露俳句大会について「ロシア俳句事情-日露俳句大会に寄せて-」というタイトルで拙稿をお届けします。
最初、日露俳句大会・秋田大会のポスターをご紹介します。
次に、拙稿を掲載します。
2011(平成23)年9月末、秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク(幸野稔理事長)の主催によりロシア沿海地方の州都ウラジオストク市で俳句を通じた文化交流を行った。
秋田県、国際教養大学、国際俳句交流協会、日航財団の支援と、現地でのウラジオストク日本センターと極東連邦大学の全面的な協力を得て、東方学校で俳句レッスン、極東連邦大学で俳句ワークショップ、ウラジオストク日本センターでは俳句の講演を行った。
交流を通じて知ったことは、日本語の勉強や学習が幼稚園、小学校、大学、日本センターなどの公的な機関で取り上げられているということであった。同時に、日本文化の学習も行われ、アニメやマンガ、そして日本文学など各層の人たちによって愛好されていることも分かった。
俳句に関しては、極東連邦大学で日本語と日本文学を専攻している学生や、ウラジオストク日本センターで日本語と日本文化を学んでいる市民の間に俳句に対する興味関心が起こり、俳句熱が一気に高まり、本年5月に日露俳句コンテストを開催。9月に秋田、ウラジオストクの両市で日露俳句大会を開催することになった。
コンテストに対してロシア全土から応募があり、一般44句、学生14句計58句の応募数であった。予想外のうれしい驚きとなった。
応募者の居住地域は、よく知られている地域としてウラジオストク、サハリン、モスクワ、サンクトペルブルクであった。あまり知られていない地域はマガダン(オホーツク海に面する港湾都市)、ビロビジャン(ハバロフスク地方、ユダヤ人自治州の都市)、ノヴォシビルスク(シベリアの中心的な都市)、ウファ(ウラル地方の工業の中心地)、ブラゴヴェシチェンスク(シベリア南部のアム-ル州の州都)、スヴェルドロフスク(中部ウラル、北ウラル山脈東麓および西シベリア低地の西限に位置する州)、ペルミ(工業都市でシベリア鉄道が通る鉄道の分岐点)、チュヴァシ共和国(沿ヴォルガ連邦管区に属する共和国)、タタールスタン共和国(沿ヴォルガ連邦管区の中央に位置する共和国)、モスクワ州(独立しているモスクワ市の周囲)、カルーガ(ロシア連邦南西部、モスクワから南西に188km)、クラスノダール(ロシア連邦南部の都市。モスクワから南に1540km)、チフヴィン(サンクトペテルブルクから東へ20km)の各地域であった。
意外に俳句愛好者はロシア全土に広がっていることが分かり、専門学校や大学、そして日本センターによる日本語や日本文化についての学習や講座のお陰のようである。
また、ウラジオストク日本センターの「文化同好会」のホームページで当コンテストについてロシア語で応募を呼びかけたことも助けになったと言える。
ここで、最新情報としてロシアの俳句人口を対象にした俳句大会について紹介します。
近畿フォーラム21(大阪市内にある任意団体)が「蕪村顕彰俳句大会」を主催し、来年3月に海外から応募のあった優秀な俳句を表彰します。大阪市政策企画室秘書部(国際交流推進)が窓口になり、大阪市と姉妹都市関係にあるサンクトペテルブルグ市にあるサンクトペテルブルグ日本センターが応募を呼びかけています。
秋田市で開催される俳句大会は秋田県とロシア沿海地方の包括的な交流の促進のため、秋田市とウラジオストク市姉妹都市締結20周年記念行事として、さらに石井露月生誕140年のお祝いのために開催しますが、ウラジオストク日本センターと在ウラジオストク日本国総領事館では、日露経済交流の一環として位置づけ、準備を進めています。
あらたに、「ウラジオストク日本センター賞」が日本からの応募者の優秀句10句に贈呈され、副賞として「帆船ナジェダ号」のメダルが贈呈されます。「ナジェダ」はロシア語で「希望」という意味です。ナジェダ号を動かし、秋田港に接岸させるためには、県民の皆様の俳句大会への参加が望まれます。熱意と誠意を表し、文化交流だけでなく、経済交流の発展も切望するものです。9月22日午後1時30分から秋田市千秋明徳町の「ジョイナス」を会場として開催します。ロシアの俳句と短歌事情について極東連邦大学准教授・与謝野晶子記念文学会会長のスレイメノヴァ アイ-ダ先生の日本語によるお話、記念講話、詩歌朗詠、千秋公園を散策しながら俳句を詠む会もあります。皆様のご参加を期待しています。
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―蛭田 秀法(Hidenori Hiruta)