第34回 山口誓子学術振興基金公開講演会
はじめに
令和5年9月23日、第34回山口誓子学術振興基金公開講演会の講師として神戸大学を訪問する機会を得ることができました。身に余る光栄なことでしたが、経緯について先ずもって触れさせていただきます。
1月23日、山口誓子学術振興基金実行委員長の寺内直子先生からメールがあり、NHKのETV特集 「戦禍の中のHAIKU」 を皆さんがご覧になり、俳句の国際化に携わっている小生の活動に深く感銘を受けられたとのことでした。
よろしければ、
- このような国際的俳句ネットワークを作るに至った思いや経緯、
- ウクライナ、ロシアだけでなく海外の方達の作った俳句、日本の俳句で翻訳された俳句の紹介、
- 俳句の翻訳の難しさ、楽しさ、
といったことについて、講演会でご紹介いただきたいというメールでした。
中日新聞やNHKの取材に協力し、共に俳句の目指す平和への道を歩んでいましたので、何かお役に立てればと思い快諾した次第です。
誓子文学
講演の内容について構想を練りながら、俳人山口誓子の生涯、俳論、俳句作品などについての学習が始まりました。
最初に、神戸大学の米田恵子先生の著書『山口誓子を知る ―その生涯と俳句―』を拝読し深い感銘を受けました。特に、日本の国土を愛し、日本語を愛する山口誓子の詩魂に共感を覚えました。
米田先生の著書は、令和4年、山口誓子生誕120周年 神戸大学創立120周年 山口誓子記念館 誓子・波津女俳句俳諧文庫創立20周年記念に神戸大学出版会から発行されました。 その後、『山口誓子句集』 をはじめ、下記の参考文献のように各著書を通して学習しました。最後に感じたことは、山口誓子の創作は 「誓子文学」 という呼称がふさわしいということでした。
神戸大学
神戸大学に「研究推進部」という部署があります。本格的に講演の準備が4月頃から始まった際に、研究推進部の研究推進課研究推進グループの田中史恵様から講演会当日に至るまでご親切に、しかもご丁寧に、ご指導ご協力をいただきました。持参資料、内容の確認、写真の提供などについてご相談しながら順調に準備を進めることができました。
講演会当日には、ご来賓や担当の教職員の皆様にご挨拶しながら、お礼を申し上げる機会もありました。さらに、ご来賓と学内の先生方との記念写真も撮影させていただきました。
前列左から
・神戸大学名誉教授 木下 資一 先生 ・ご来賓 末永 航 様
・蛭田秀法先生 ・神戸大学名誉教授 堀 信夫 先生
・神戸大学 理事・副学長 河端 俊典 先生
後列左から
・神戸大学国際文化学研究科 教授 昆野 伸幸 先生
・ご来賓 久留島 元 様
・神戸大学国際文化学研究科 教授 寺内 直子 先生
・神戸大学国際文化学研究科長 藤濤 文子 先生
山口誓子記念館
俳人の山口誓子(本名新比古 1901~1994)は、昭和23〈1948〉年に『天狼』 を創刊し、現代俳句の発展に貢献した。没後、全財産が神戸大学に寄贈され、西宮市苦楽園にあった旧宅の一部を復元した山口誓子記念館が、平成13(2001)年神戸大学の構内に建てられました。また、蔵書や遺品・手書き原稿などは、誓子・波津女俳句俳諧文庫に収められています。
講演会の前に、寺内直子先生、山口誓子記念館の米田恵子先生、そして田中史恵様にご案内いただきました。その折に撮影した写真の一部をご紹介します。
記念館は数寄屋造の建物で玄関への通路の脇には、あじさいの館と呼ばれた旧邸から紫陽花が移植されています。
山口誓子先生が最も気に入っていた写真の一枚。裏庭には芙蓉の花が咲いていた。
西宮市苦楽園にあった誓子の旧邸はあじさいの館と言われていた。偶然買い求めた一鉢のあじさいがどんどん増えて庭や生垣を彩っていた。
六甲の自然の中、大阪湾を望みながら吟行。俳風の満ちている部屋で句会が行われる。
紫陽花や芙蓉の花の咲く頃、一輪挿しの部屋でお茶会が行われる。
特別展
山口誓子特別展「誓子と旅(3)~島を詠む~」
例年、山口誓子特別展が開催されますが、開催中に山口誓子学術振興基金公開講演会が行われます。
なお、山口誓子通常展 「誓子と旅(3)~島を詠む~」として、令和5年11月27日(月)~令和6年9月上旬(予定)の期間中も開催されます。
特別展も拝見することができました。多数の素晴らしい作品に感動しましたが、下記の作品だけご紹介いたします。
講演会
録画映像の配信
11月17日、神戸大学のHPにおいて第34回山口誓子学術振興基金 公開講演会の開催についてのお知らせが下記のようにありました。
9月23日(土)、神戸大学百年記念館「六甲ホール」にて、第34回山口誓子学術振興基金 公開講演会を開催し、学外から約80名の方が参加しました。

本講演は、俳人の故山口誓子・波津女ご夫妻から寄贈いただいた基金により、本学が日本の俳句研究の拠点の一つとして運営しているものです。
今年は、秋田国際俳句ネットワーク会長・「天為」同人 蛭田 秀法先生による「『五・七・五の世界』-日本語の魅力-」と題したご講演が行われました。
誓子の句・生涯の振り返りに始まり、講師の蛭田先生が2009年に創設された秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク(2019年から秋田国際俳句ネットワークに移行)の活動を中心にお話しいただきました。多くのトピックが盛り込まれたご講演は、和やかな雰囲気のうちに拍手で締めくくられ、会場からは「親しみやすい内容で、ご活動の話題などから先生の温かいお人柄も伺える講演でした」との声が聞かれました。
第34回山口誓子学術振興基金公開講演会
講師:蛭田秀法氏(秋田国際俳句ネットワーク会長・「天為」同人)
演題:「『五・七・五の世界』-日本語の魅力-」
後援:公益社団法人俳人協会/朝日新聞神戸総局/兵庫県教育委員会/神戸市教育委員会/西宮市教育委員会
ご講演の様子を、大学公式YouTubeチャンネルでも公開いたします。
ご視聴は こちら から
※令和6年3月末日まで(予定)
山口誓子学術振興基金では、講演会のほかに山口誓子記念館、誓子・波津女俳句俳諧文庫の運営も行っています。これらの施設は一般開放もしていますので、ご興味をお持ちの方はHPをご覧ください。
(研究推進部研究推進課)
中日新聞
令和4(2022)年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、秋田国際俳句ネットワークは中日新聞の取材に協力して来ました。俳句の目指す平和への取り組みに共感を覚えたからです。
このようなご縁から、神戸大学主催の公開講演会の取材のために中日新聞から編集局文化芸能部の林啓太記者を派遣していただきました。
9月29日、中日新聞の紙上と電子版において講演会について、ご報道いただきました。電子版の記事の一部をご紹介いたします。
https://www.chunichi.co.jp/article/778841
ウクライナ平和へ俳句に役割 秋田の俳人・蛭田秀法さん神戸大で講演
2023年9月29日 16時11分 (9月29日 16時11分更新)

自身の活動について語る蛭田秀法さん=神戸市の神戸大百年記念館「六甲ホール」で
ロシアによるウクライナ侵攻後、両国の俳句愛好者らが詠んだ非戦の俳句の周知に努めている俳人の蛭田秀法さん(81)=秋田市=が23日、神戸市の神戸大で自身の活動について講演した。本紙の取材にも応じ「戦争はいつか終わると信じ、俳句の目指す平和への道を歩み続けたい」と、力を込めた。(林啓太)
海外では、外国語の三行詩が「俳句」として詠まれている。蛭田さんは、秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク(秋田市)が2018年まで毎年主催した「日露俳句コンテスト」に、事務局長として携わった。
ロシアのウクライナ侵攻後は、両国の愛好者らが詠んだ非戦の俳句を取り上げた本紙の取材に協力。その後、同趣旨のNHKの特集番…
(秋田国際俳句ネットワーク)












