詩の国秋田 創刊10周年・記念号:Akita-the Land of Poetry 2018.11.vol.10 Memorial Number

巻頭言 「詩の国秋田」第10号を発行するにあたり、「第29回国民文化祭・あきた2014」の県民参加事業として開催された第3回日露俳句コンテスト及び国際俳句大会にご協賛いただき、その後も協賛団体としてご指導ご協力をいただいてきた秋田商工会議所会頭の三浦廣巳様から巻頭の言葉を賜りました。 日露俳句コンテストに寄せて 秋田商工会議所 会頭 三浦廣巳 第7回日露俳句コンテストおよび第4回国際俳句大会の成功を心からお祝い申しあげます。 秋田商工会議所は、ロシア極東に最も近い港をもつ地理的な強みを活かし、環日本海地域の交流拠点としての秋田の発展を目指して、日本海対岸のロシア沿海地方および中国延邊朝鮮族自治州との3地域経済交流に取り組んでいます。 平成24年11月、ウラジオストクに拠点を置く、ロシア沿海地方商工会議所との間で経済交流に関する覚書を締結して以来、交流拡大に向け相互訪問を重ねてきました。(国内の商工会議所で、ロシアの商工会議所と交流協定を交わしているのは、日本商工会議所とロシア連邦商工会議所との提携を除いては、秋田商工会議所だけです。) さらに、平成26年には、秋田商工会議所、ロシア沿海地方商工会議所、中国国際貿易促進委員会延辺支会の3地域経済団体による第1回経済交流会議を秋田市で開催し、以降、各地域持ち回りで毎年継続しています。このような地道な取り組みが実り、ロシア沿海地方へ秋田県産米が輸出され、現地のスーパーマーケットで販売されているほか、今年10月には、ロシア沿海地方から家畜用飼料の輸入がはじまりました。 秋田とロシア沿海地方との交流は、8世紀の渤海国(現在の中国東北部から朝鮮半島北部、ロシア沿海地方)との交流に遡ります。当時は、秋田城が北方や大陸との交易・外交の拠点となり、渤海国からの使節団を受け入れていました。昨年、沿海地方商工会議所の代表団を秋田市へ招聘した際には、秋田城跡を案内し、お互いの交流のルーツを確認し合いました。 海外との経済交流を進めるには、お互いの地域の歴史や文化を理解し合い、信頼関係を築くことからはじめなければなりません。そのためには、両地域間の人的交流、文化交流の活発化が不可欠です。平成24年から続く日露俳句コンテストは、まさに言語や文化の違いを超えた、心の通じ合える交流であると思います。 8世紀から続く、海を越えた交流が今後も永続し、お互いの地域の発展につながるよう、俳句・川柳・短歌を通じた交流活動のますますの活発化を期待しております。  最後に、第7回日露俳句コンテストの秋田商工会議所会頭賞に選ばせていただいた句を紹介します。 「渤海へ続く卯波や遺跡群」 櫻田北投石(秋田県) 日露俳句コンテスト 余話 虹の架け橋 2011(平成23)年9月、秋田県・ロシア沿海地方文化交流事業の一環としてウラジオストク日本センターを拠点としてロシアの市民や学生と俳句を通した文化交流が行われました。 2012(平成24)年5月には文化交流の継続事業として、さらに秋田市・ウラジオストク市姉妹都市提携20周年の記念や石井露月生誕140年記念として日露俳句コンテストが開催されました。その上、主催者には秘められた思いがありました。日露戦争、そして第二次世界大戦を経て60有余年に当たり、日本とロシアの間に虹のような文化の架け橋をかけることでした。テーマを「海」として日本語部門に370句、ロシア語部門に58句、計428句が寄せられました。 2013(平成25)年5月には英語部門が加わり英語ハイクが世界各国から寄せられるようになり、本年の第7回目のコンテストには56カ国から862句が寄せられました。多くの人たちが虹の架け橋を渡っていることが実感されました。近年、彫刻の分野でも日露間の文化交流が促進されていることを知り、二重の喜びになっています。 コンテストの賞について 秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク主催の初回のコンテストのために秋田県知事賞、秋田市長賞、秋田市教育委員会教育長賞が日本語、ロシア語の両部門の対象句に贈呈されました。ネットワークからは「露月山人国際賞」が贈呈され、副賞としてロシア語部門の受賞者が秋田市に招待されました。 2011(平成23)年のウラジオストク市での俳句交流においてJAL財団主催の「世界こどもハイクコンテスト」への応募の呼びかけを東方学校の子供たちに行ったことが縁となり、両部門の対象句に「JAL財団賞」が贈呈されました。副賞の一部として作品集・地球歳時記が贈呈されました。 さらに、ウラジオストク日本センター賞が日本からの応募者の優秀句10句に贈呈されました。副賞として帆船ナジェジュダ号のメダルが1890(明治23)年にウラジオストク市に建学された海洋国立大学から贈呈されました。「ナジェジュダ」はロシア語で「希望」という意味です。 国文祭記念・第3回日露俳句コンテストの開催時には、秋田県知事賞、秋田市長賞、JAL財団賞の他に、秋田商工会議所会頭賞、国際教養大学学長賞、秋田魁新報社社長賞、天為秋田支部長賞が日本語、ロシア語、英語の3部門の対象句に贈呈されました。 日露両国での俳句大会 2012(平成24)年9月、秋田とウラジオストクの両市で日露俳句大会が表彰式を兼ねて開催されました。 9月22日(土)に開催された秋田大会では、日露俳句コンテストの入賞作品の紹介や表彰が行われました。次に、一般市民有志の援助のお蔭で講師として招聘されたスレイメノヴァ・アイーダ極東連邦大学准教授、アレクサンダー・ドーリン国際教養大学教授、幸野稔秋田大学名誉教授、石川三佐男秋田大学教授、手島邦夫秋田工業高等専門学校教授による記念講話や詩歌朗詠などが行われました。千秋公園における吟行、句会もありました。さらに、秋田県国際俳句協会主催の日露俳句交流の夕べも開催されました。翌日23日(日)には秋田城跡を訪問、日露の交流の歴史を振り返りました。 以下、秋田大会の一部を紹介します。 スマローコヴァ・オリガさんが露月山人国際賞を受賞 オリガさんから秋田県への絵画の寄贈 市民の有志による副賞「秋田あくらビール」の贈呈 詩歌朗詠 日露俳句交流の夕べ 秋田城跡(1) 秋田城跡(2) 秋田城跡(3) ウラジオストク大会 9月29日(土)に開催されたウラジオストク大会には、秋田県国際交流協会の援助のお蔭で幸野稔秋田大学名誉教授と手島邦夫秋田工業高等専門学校教授が参加され、日露俳句コンテストの入賞作品の紹介や表彰、さらに記念講話、詩歌朗詠や俳句発表会も行いました。 大会中ウラジオストク日本センターの茶道クラブ「一期一会」によるお茶会に出席、在ウラジオストク日本国総領事館主催の夕食会に招待されました。 注:役職名は事業実施の時点でのもの 極東連邦大学における俳句講演会 2013(平成25)年10月、虹の架け橋を再び渡ることになりました。一行はマーク・ウイリアムズ国際教養大学副学長、工藤一紘石井露月研究会会長、相場いぶき国際教養大学講師、そして蛭田秀法国際俳句交流協会会員の4名でした。 10月12日(土)極東連邦大学の図書館において第2回日露俳句コンテストの入賞作品の紹介や表彰、各講師による講演や発表が行われました。 入賞者との記念写真 翌日、スレイメノヴァ・アイーダ極東連邦大学准教授の案内でルースキー島に渡り、2012(平成24)年のロシア APECの施設がそのまま転用された極東連邦大学のキャンパスを視察。 ウラジミル・クズネツォヴ地域・国際研究学部長を表敬訪問。その後、日本語の授業を3教室で参観。夕方、ウラジオストク日本センター主催の夕食会に招待されました。 シュネルコ・アレクサンダー日本学部長の授業 ガーナとのテレビ電話で表彰を中継! 2014(平成26)年10月25日(土)国際教養大学で国文祭記念・国際俳句大会が開催されました。第3回日露俳句コンテストの入賞作品の紹介と表彰も行われました。英語部門の秋田商工会議所会頭賞を受賞されたガーナの俳句詩人アジェイ・アゲイ・バーさんとテレビ電話で受賞の喜びを分かち合いました。秋田は午後2時30分頃、早朝のガーナの地には家族、知人、友人が集まり歓呼の声を挙げながら祝福されたとのこと。 2015(平成27)年アジェイさんはナイジェリアの句友とともにアフリカの地にAfrica Haiku Networkを設立され、世界中の俳句詩人とともに英語ハイクを分かち合っています。 https://africahaikunetwork.wordpress.com/ 2016(平成28)年アジェイさんはアメリカのRed Moon … Continue reading 詩の国秋田 創刊10周年・記念号:Akita-the Land of Poetry 2018.11.vol.10 Memorial Number

稲美里佳の短歌:Tanka by Rika Inami (16)

2018年11月短歌 All rights reserved ©Rika Inami 稲美 里佳   <抱返り渓谷に10首 / 10 pieces to Dakigaeri Valley>   抱返り渓谷は秋田県仙北市にあります。 Dakigaeri Valley is in Semboku City, Akita, Japan.   1   けふに知るいまだ知らざる事ありと抱返り渓谷われに知らしむ   today Dakigaeri Valley let me know that I still have the unknown … I realize it   抱返り渓谷に行くには、抱返り神社の鳥居をくぐって行かなければなりません。 We have to walk through under … Continue reading 稲美里佳の短歌:Tanka by Rika Inami (16)