年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、9月4日から「日露俳句コンテスト」の入選句シリーズを掲載しております。 今回は高校生部門の2回目です。 日露俳句コンテスト 高校生部門(2) 矢野玲奈選 特選 海近し夏の潮の香肌でかぐ 秋田工業高等専門学校 白鳥翔 Приближаюсь к берегу Запах летнего моря Ощущаю на своей коже the sea approaching the smell of summer tide I take on my skin いつのまにか肌に潮の香が沁みこむほど海に近づいているのだなぁという喜び、海への期待感を「かぐ」という動作で表現したところが良いと思います。 入選 潮風と水の香りと海の青 秋田県立角館高等学校 三浦志穂 Соленый … Continue reading 『詩の国秋田』 第4号「日露俳句コンテスト」高校生部門 (2) 矢野玲奈選
Month: September 2012
『詩の国秋田』 第4号 「日露俳句コンテスト」高校生部門(1) 内村恭子選
年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、「日露俳句コンテスト」の入選句シリーズを掲載することになりました。 当コンテストについては、下記のサイトをご参照ください。 https://akitahaiku.wordpress.com/2012/04/14 https://akitahaiku.wordpress.com/2012/04/15 https://akitahaiku.wordpress.com/2012/04/16 https://akitahaiku.wordpress.com/2012/04/17 なお、入賞句については、9月22日(土)秋田市で開催される「日露俳句大会」秋田大会と9月29日(土)ウラジオストク日本センターで開催されるウラジオストク大会で発表され、表彰式を行います。 大会の後で、当サイトでも掲載いたします。 日露俳句コンテスト 高校生部門(1) 内村恭子選 特選 波音のすずしい音色着信音 秋田工業高等専門学校 松川直樹 Шум волн – Так звучит прохлада, Оживляет, как звук принятого сообщения the sound of waves its cool tone it is the ringing tone … Continue reading 『詩の国秋田』 第4号 「日露俳句コンテスト」高校生部門(1) 内村恭子選
『詩の国秋田』 第4号 「露月山人、衆目には見えない 『赤い糸』 を詠む」
年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、秋田大学名誉教授・文学博士石川三佐男先生から次のような玉稿を賜りました。 (『詩の国秋田』2012.9.3 vol.4 電子版「https://akitahaiku.wordpress.com/」掲載) 露月山人、衆目には見えない「赤い糸」を詠む 秋田大学名誉教授(文学博士) 石川 三佐男 【緒言】平成六年(1994)十二月、筆者は能代市の成田建さんから落款に「露月山人題」とある漢詩句の書(軸物一幅・成田家蔵)の訳読を依頼されたことがある。訳読を通じて分かったことだが、この書は明治三十年ころ成田建さんの祖父母結婚時の祝賀詞であるらしい。参考までに、この作品は「雄和の文化財」第七集『石井露月遺墨集』(昭和六十三年)には収録されていないことを言い添えておこう。 【原詩句】解不解可解不可解維花兮維容兮沈香亭北倚欄干 露月山人題(印) 【訓読文】解けんとして解けず、解くべくして解くべからず 維(こ)れ花、維れ容(すがた)、沈香亭の北のかた欄干(おばしま)に倚(よ)る 露月山人題す 【語釈】○解不解―「解」はともに「とける」と読む自動詞。愛の契りや楽しい想い出などが自然にとけ消える意を表す。その主体は実は目に見えない「赤い糸」に他ならない。○可解不可解―「解」はともに「とく」と読む他動詞。愛の契りや楽しい想い出などを意識的にとき消す意を表す。「解不解可解不可解」は頼山陽の漢詩文及び中国古典が典故。その主体が霊妙な「赤い糸」となっている点は露月山人の発明だろう。○維花兮維容兮―「維」は助字で「これ」と読み、句の初めや中間に用いて語調を整える。「兮」は韻文の句中や句末に用いて語調を整え余情を添える助字。「花」「容」は誇れる名花(芍(しやく)薬(やく))と佳き人の姿。新郎新婦に呼びかける詩的措辞となっている。句末の典故から推せば、第一義的には唐の玄宗皇帝と楊貴妃を表す。第二義的には成田建さんの祖父母結婚時の幸せに満ちた容姿を表す。○沈香亭北倚欄干―唐の玄宗皇帝が楊貴妃を得て「沈香亭」(宮中の庭園にあったあずま屋)の北で欄干(おばしま)にもたれ、芍薬の花を賞(め)でつつ永遠の愛を契り楽しんだという意。この句は李白の清平調詞第三「名花傾国両相歓~沈香亭北倚欄干」が典故。露月山人が詩仙李白の詩に精通していた一面を示す。○露月山人題―露月山人がこの祝詞を作り揮毫した。 【口語訳】愛の契りや想い出は永遠にとけ消えないものである。消そうとしても消すことができないものである。(見よ)この名花と良人は、あの唐の玄宗皇帝と楊貴妃が沈香亭の北のかた欄干にもたれ、芍薬の花を賞(め)でつつ永遠の愛を契り楽しんだという故事そのものだ。 【主題】明治期に「赤い糸」で堅く結ばれた能代の成田夫妻の夫婦愛の美しさと永遠性を祝福し、兼ねて唐の玄宗皇帝と楊貴妃の愛の契りを例示して錦上花を添えている点にある。 【結語】本作品は目に見えない「赤い糸」を色彩を表す文字を一切用いず鮮やかに描出している。これは世阿弥『風姿花伝』の、いや露月山人流の「秘すれば花なり」ということなのだろう。 (2012年8月14日 識之) 玉稿は9月22日(土)に開催される「日露俳句大会」秋田大会のお祝いとしてご恵贈賜りました。 さらに、大変うれしいことに石川先生には当大会で記念講話もお願いできました。 大会要項は次の通りです。 日露俳句大会(要項) はじめに 平成23年9月末、秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワークの主催によりロシア沿海地方の州都ウラジオストク市で俳句を通じた文化交流を行った。秋田県、国際教養大学、国際俳句交流協会、日航財団の支援と、現地でのウラジオストク日本センターと極東連邦大学の全面的な協力のお陰で画期的な文化交流となった。 東方学校で俳句レッスン、極東連邦大学で俳句ワークショップ、ウラジオストク日本センターでは俳句の講演を行った。 交流は反響を呼び、極東連邦大学で日本語と日本文学を専攻している学生や、ウラジオストク日本センターで日本語と日本文化を学んでいる市民の間に俳句に対する興味関心が起こり、俳句熱が一気に高まった。 結果として、本年5月に日露俳句コンテストを開催。9月に秋田、ウラジオストクの両市で日露俳句大会を開催することになった。 本年は石井露月生誕140年に当たる年であることから、露月の偉業を記念すると共に、日本とロシアの友好親善を深めたいと考えている。 俳句大会が秋田、ウラジオストクの両市で開催されることにより、文化交流の基盤が確固としたものになり、俳句を通じた市民レベルでの日露文化交流が一層活発になることを期待しております。 秋田大会 9月22日(土) 俳句大会 13:30 ~16:30 会場 ジョイナス(秋田県民会館に隣接)千秋公園(吟行) 日程 開会 … Continue reading 『詩の国秋田』 第4号 「露月山人、衆目には見えない 『赤い糸』 を詠む」
『詩の国秋田』 第4号 「秋田俳壇の先達」シリーズ(1)
年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のEパンフレットによる発刊にあたり、秋田県国際俳句協会会長和田仁氏が「秋田俳壇の先達」シリーズとして次の俳人の方々の句を選句し、短評を加えました。 ご紹介します。 「秋田俳壇の先達」シリーズ(1) 川村三千夫 (秋田県俳句懇話会会長・合歓代表・海程) *少年の眸よ早春の潮溜まり *震度六春の厠に四つん這い *反転の山女そのとき白けむり *原子炉に神は在さず五月雨 *稲架の裏馬の魂魄ひしめけり 作風:華麗にして鋭利な俳諧性が持ち味 武藤鉦二 (秋田県現代俳句協会会長・しらかみ主宰・海程) *山国の山影ふくらんでゆく日永 *読本に黒塗りしころ夜の蝉 *途中から雁が音となり津軽三味 *どか雪の盆地ふんわり落とし蓋 *軒つらら民話はぐくむ硝子ペン 作風:俳域を超越した清冽な詩性が持ち味 伊藤沐雨 (天為秋田支部長) *越後より軽しと羽後の雪をかき *木版の和紙の白さを雪として *雪囲ひして風評を寄せつけず *せせらぎの記憶は春の小川です *四五軒の里の総出の花筵 作風:高潔にして典雅な情感が持ち味 舘岡誠二 (前秋田県現代俳句協会会長・海程・寒鮒) *地獄絵の被災地掠め岩燕 *潟の田で守護神となり雁の陣 *じわじわと寒さ酒場の客まばら *ポケットに延命丸入れ冬の漁夫 … Continue reading 『詩の国秋田』 第4号 「秋田俳壇の先達」シリーズ(1)
『詩の国秋田』第4号 -秋田県国際俳句協会の誕生-
平成24(2012)年7月国際教養大学理事長・学長の中嶋嶺雄先生を名誉会長、同大学副学長のマーク ウィリアムズ先生を副名誉会長として、秋田県俳句懇話会、俳人協会秋田県支部、秋田県現代俳句協会など、秋田県の俳壇の重鎮の皆様を顧問や相談役にお願いして「秋田県国際俳句協会」を設立いたしました。 年会誌『詩の国秋田 : Akita – the Land of Poetry 』第4号のE-パンフレットによる発刊にあたり、秋田県国際俳句協会会長和田仁氏から巻頭言を賜りました。 秋田県国際俳句協会設立の経緯について 会長 和田 仁 このたび、多くの方々に励まされ、「秋田県国際俳句協会」を県単位としては全国に魁けて設立することが出来ました。心から御礼申し上げます。 さて、当協会の門出は、 一、有馬朗人先生を会長とする「国際俳句交流協会」と秋田県俳壇との親密な交流 二、佐竹敬久県知事はじめ秋田の「官」の支援 三、中嶋嶺雄国際教養大学理事長・学長はじめ秋田の「学」の支援 四、経済界はじめ国際交流に心血を注いでいる「民」の支援 五、国際俳句の世界で高い評価を得ている「秋田国際俳句・川柳・短歌ネットワーク」の実績 など 既に強固な基盤があり、自然発生的な安産とも言えるかも知れません。それだけに今後の活動内容が厳しく問われることになります。 当協会の設立目的に「秋田県俳壇の振興と国境や言語の壁を越えて俳句文芸の普及交流に寄与する」と記されております。 幸い、俳壇を背負っておられます先生達はじめ多くの方々の賛同を得られ、今後も御協力を頂ける運びとなりました。深く感謝を申し上げます。 ところで、俳句は世界一短い詩形と言われております。しかし、その呟きにも似た片言性ゆえに大宇宙さえ捕らえることが出来るのです。この含蓄のある神秘的な詩形は世界に普及する魅力を充分持ち合わせているのです。 献四句 *交響曲新世界より花便り *夏蝶に戦の匂ひ火の匂ひ *流星やゼロに近づく数へ方 *韃靼の海へと帰る尾白鷲 次に、当協会の「規約」を紹介します。 秋田県国際俳句協会規約 第一条 本会は、秋田県国際俳句協会と称する。 第二条 本会は、秋田県俳壇の振興と国境や言語の壁を越えて俳句文芸の普及交流に寄与することを目的とする。 第三条 本会は次の事業を行う。 (1) 研修会、講習会の開催。 (2) 県内外および国内外へ情報発信と講師派遣。 (3) 作品と論文発表および業績の顕彰。 (4) 機関誌の発行。 (5) … Continue reading 『詩の国秋田』第4号 -秋田県国際俳句協会の誕生-


